BFL写真

「ビットコイン史上最悪の詐欺」と言われたバラフライ・ラボ事件をご存知ですか?
バタフライ・ラボは、2012年に高性能なビットコイン採掘用ASICを発表して注目を集めたものの、開発に失敗し、姿を消したベンチャー企業です。

ネット上ではポンジ・スキームに似た詐欺だったという見方が通説となっています。
しかし、あらためて裁判資料を追ってみると、通説とは異なる意外な一面が浮かび上がってきました。
究極のASICで一攫千金を夢見たスタートアップの物語です。

おことわり

バタフライ・ラボ事件は事実関係が明らかでない点が残っています。
可能な限りソースを探し、根拠が乏しい主張は排除していますが、個々の事実をつなぎ合わせた主観的な推測も含みます。バタフライ・ラボ社を正当化する意図はありません。

事件の概要

あらまし

2012年6月、バタフライ・ラボはスーパーコンピューター級の超高性能なビットコイン採掘用ASICを開発すると発表します。
電力効率で比較すると、当時主流だったGPUで300W/GHs、FPGAでせいぜい20W/GHsだったのに対し、バタフライ・ラボのASICは1W/GHsという桁違いのスペックを打ち出しました。

バタフライ・ラボに刺激され、いくつかの競合もASIC開発に名乗りを上げました。
競合といっても、中国の学生が趣味半分で開発して匿名掲示板で頒布する程度のガレージメーカーです。
一方、バタフライ・ラボは技術的知見に長けたスペシャリスト集団に思わせる雰囲気があり、ベンチャーキャピタルから資金援助されている新進気鋭のスタートアップ企業です。
軽々と2万件を超す予約注文を集めることに成功します。

ところが、2013年になると雲行きが怪しくなってきます。
1月のCES(世界的な家電見本市)でASIC採掘機のデモを披露し、
「まもなく量産出荷を開始する」
と説明しましたが、いつまで経っても出荷は始まりません。
「もうすぐ出荷する」、「2週間後に出荷する」などと細かい納期遅延を繰り返しているうちに、泡沫候補だった中国の2社(AvalonとASICMiner)がASIC開発に成功し、世界中を驚かせました。

2013年6月にようやく出荷が始まりました。
競合より半年遅れましたが、それでも性能は上回っていました。
AvalonとASICMinerのASICは110nmプロセス、バタフライ・ラボは65nmプロセスでした、

これで一安心と思いきや、本当に大変なのはここからでした。
AvalonやASICMinerの成功をみて、手強い競合が続々と参入してきました。
オランダのBitfuryが65nm、スウェーデンのKnCが28nmプロセスのASICを発表し、プロセスの微細化競争に突入します。

バタフライ・ラボもすかさず応戦し、28nmプロセスの第2世代ASICを発表します。
意欲的なスペックと納期を自信満々に公表しましたが、実際は内憂外患の状態でした。
競合の猛烈なキャッチアップに加えて、第1世代ASICの予約注文が大量に残っていました。
開発に失敗したら倒産しかねない危険な賭けでした。

ビットコイン投機家の射幸心を煽るセールストークを駆使し、かろうじて第2世代ASICの予約注文を集めることに成功しました。
しかし事態は悪化の一途をたどります。
第2世代ASICも納期遅延が連発し、詐欺だと非難する声が日増しに強くなっていきます。
2014年9月にようやく第2世代ASICの出荷を始めますが、もはや手遅れでした。
アメリカの公正取引委員会にあたるFTCがバタフライ・ラボを摘発し、同社の信用は失墜します。
予約販売で開発資金を集めるビジネスモデルは崩壊し、返金対応に追われることになります。
2016年2月に制裁金の支払いに合意しますが、すでに会社の資金は底を尽いており、約44億円の制裁金は170万円程度まで減免されました。
こうしてバタフライ・ラボ事件は幕を閉じます。

真相

なぜバタフライ・ラボは守れない納期を発表し続けたのでしょうか?

「最初からお金を集めて逃げるつもりだった」というのが定説です。
たしかにビットコインは資金の流れが追えず、計画倒産に悪用できます。
納期が早いほど予約を集めやすい、秘密裏にビットコインを採掘していた、会社口座から現金がすぐに消えていた等、いろいろな点でつじつまが合います。

しかし、納期が遅れたとはいえ、独自の革新的なASICを開発したのは事実です。
予約金を持ち逃げするつもりだったなら、もっと簡単な方法がいくらでもあったはずです。

「じつは早々にASICは完成していたが、自分でマイニングしたほうが儲かることに気づいた」という見方もあります。
当時はビットコインが値上がりし、ASIC採掘機は文字通り「金のなる木」でした。
経済的合理性は十分あります。
採掘機の性能が陳腐化してから出荷台数が増えたこと、ビットコイン全体のハッシュレートが急上昇したことも、この説と整合します。

しかし、いくら納期確約のない予約注文だからといって、半年以上もわざと遅らせるでしょうか?
もっと早く出荷すればユーザーの信頼を失わずにすみ、ビジネスを継続できたはずです。
この疑問のヒントは、FTCが押収した社内チャット記録に隠れていました。

社内チャットには第2世代ASIC開発の内情が生々しく記録されていました。
そこからにじみ出てくるのは、競合の猛追と顧客クレームに苦しむ焦燥感であり、一発逆転のASICに望みを賭けた人間の葛藤です。
納期が小刻みに何度も延長された裏には、ASIC開発委託先とのぎくしゃくした関係があったこともうかがえます。

競合対抗の焦りと開発委託先とのミスコミュニケーションのため、無茶な納期とスペックを発表し続けてしまったのが真相なのかもしれません。

影響

バタフライ・ラボ事件がビットコインの歴史に残した影響を考えてみます。

ASIC化

バタフライ・ラボ事件があったから仮想通貨採掘用ASICが誕生したといっても過言ではありません。

いまでは当たり前になった仮想通貨採掘用ASICですが、以前はビジネス的に成り立たないと言われていました。
ASICをつくれば性能が良くなることは分かっていても、ASIC開発には高度な技術力と巨額の資金が必要で、インテルのような大手半導体メーカーしか手を出せないからです。
大手企業がビットコインに進出するわけがないので、GPUやFPGAによる採掘が続くと思われていました。

バタフライ・ラボが大風呂敷を広げて2万件以上の予約注文を集めてみせたのは、「ひょうたんからコマが出た」ような衝撃でした。
バタフライ・ラボの成功を見て、競合ベンチャーもクラウドファンディング的手法で資金を集めるようになり、ASIC化のムーブメントが起きました。

Canaan

バタフライ・ラボのヒールっぷりは競合の正義感を刺激しました。
典型例がCanaanです。
バタフライ・ラボ独占を防ぐため、虎の子であるASICを解放してチップ販売を行なったところ、かえってCanaanが半導体メーカーとして成長するきっかけになりました。
参考:アニメオタクがビットコインと出会ってNASDAQに上場する話

柔よく剛を制す

採掘用ASICの設計で頭を悩ますポイントが電力効率と発熱のバランスです。
チップサイズを大きくするほど電力効率が良くなりますが、発熱も増えます。
発熱が増えると冷却ファンの消費電力が増えてしまい、かえって電力効率が悪くなります。

中国のBitmainは、放熱設計を簡略化するためにチップサイズを小さく抑えて設計したと語っています。(出典:日経クロステック 大槻氏の記事
チップサイズを小さくした理由には、パッケージ技術も関係していると推測されます。
創業したばかりのベンチャーでも安く使える、ありふれたパッケージが「QFN」でした。
QFNパッケージはチップ裏面のパッドを通して基板に熱を逃がす構造です。
パソコンのCPUのように、チップ上面にヒートシンクをつけて強制空冷する方法では効率的に冷やせません。
小さいチップを基板に分散して配置し、全体をファンで冷やす構造は枯れた技術しか使えない状況で生み出された苦肉の策だったと推察します。

一方、バタフライ・ラボの設計思想はアメリカらしいパワープレイでした。
最たる例が第2世代ASIC「Monarch」です。
熟練のエンジニアと先端技術を駆使し、チップを限界まで巨大化します。
トランジスタ数は55億個、ダイサイズは推計504mm²、消費電力350Wという空前絶後のモンスターチップでした。
パッケージも放熱に優れた特注品を開発しました。
冷却はハイエンドCPUと同じ水冷方式です。
熱源をまとめて集中的に冷やす方法は理にかなっているように思います。

しかし蓋を開けてみれば、BitmainやCanaanなど中国勢の圧勝でした。
バタフライラボは不誠実な顧客対応で自滅しましたが、設計思想の時点からニーズを見誤っていました。
ビットコイン採掘で電力効率は重要ですが、それ以上に大切なのが納期と価格です。
競合を少し上回る性能があれば十分で、いち早く市場投入するスピードがなによりも重要だったのです。
価格と電力効率はトレードオフ関係ですが、学生寮に住んでいたり、自家発電の余剰電力を持っていたりと電気代を気にしないユーザーも多く、償却期間が短くなる「安さ」を重視するトレンドが生まれていました。
大規模なマイニングファームにしても、基板をまるごと冷やせる液浸冷却技術が編み出され、QFNの弱点が克服されました。

中国のハイテク産業にとって仮想通貨ASICは、ユーザーのニーズを素早くキャッチする中華ガジェットの得意技で巨像を倒し、ローエンドまでハイエンドまで全面的に勝利した特筆すべき成功事例となりました。

会社概要

バタフライ・ラボ(Butterfly Labs、BF labs、通称:BFL)の創設は2011年。
本社はシリコンプレーリーとして知られるアメリカ ミズーリ州カンザスシティです。
「SHA-256ハードウェア製品の世界的リーダーで、半導体設計のコンサルティング業務を提供しています。」
と会社紹介に記載していました。

会社紹介ビデオ(2013年4月) – YouTube
会社紹介ビデオ(2013年8月) – YouTube
会社紹介ビデオ(2013年10月) – YouTube

※補足
SHA-256はビットコインに使われている暗号化アルゴリズムです。
BFLがビットコイン以外のビジネスをしていた記録は見つかりません。
IPライセンスを販売しているという説明は、予約注文を集めるための誇大広告だったと推測されます。

Bitforce(FPGA)

2011年9月、FPGA型ビットコイン採掘機「Bitforce」シリーズを発表します。

当時はGPUによるマイニングが主流で、電力効率は1GH/sあたり300〜500Wでした。
ハイエンドのGPU「AMD Radeon HD 6990」が340W/GHs程度でニュースになるほど売れていました。
ASCII:7万円の高級グラボが中国でバカ売れ

FPGAを使った「Bitforce」は最高で20W/GHsという飛び抜けた電力効率でした。
似たようなFPGA採掘機を販売するガレージメーカーは他にもありましたが、BFLは性能だけでなくデザインも洗練され、別格の完成度でした。

ドイツのZTEXや中国のLancelot(後のCanaan)はFPGAにXilinx Spartan-6を採用していましたが、BFLはAltera Stratix IIIを採用していました。

Bitforceシリーズは廉価版の「The Single」、ハイエンドの「Rig Box」という2つのモデルがあり、さらに「SuperComputer」という超高性能モデルが予告されていました。

The Single(BitForce SHA256 Single)

・2011年9月発表当初:1,050MH/s @19.8W、499ドル(一時、699ドルに値上)
・2011年12月更新後:832MH/s @80W、599ドル
・複数台の並列動作が可能

レビュー記事:Обзор FPGA майнера от Butterflylabs

Rig Box(Mini Rig)

・2011年9月発表当初:54.4GH/s→50.4GH/[email protected]、24,980ドル
・2011年12月更新後:50.4GH/[email protected],500W、24,980ドル
・2012年4月更新時:25.2GH/[email protected],250W、15,295ドル

参考:FPGA- And ASIC-Based Mining Devices

SuperComputer

SC予告
スーパーコンピューター級の次世代機を開発中で2012年Q2発表と予告。

Bitforce SC(65nm ASIC)

2012年6月、超高性能ビットコイン採掘機「Bitforce SC」シリーズを発表します。
FPGAを凌駕するスーパーコンピューター級のビットコイン採掘ASICを搭載し、2012年10月に発売すると大々的にニュースリリースを出しました。
ビットコイン業界で大きな話題となり、ASIC開発競争が始まるきっかけになった出来事でした。

Jalapeno(ハラペーニョ)

・発表時はUSB駆動でコーヒー保温器程度の消費電力(つまり2.5W)を謳った
・2012年6月発表当初:3.5GH/s、149ドル
・2012年10月更新時:4.5GH/s、149ドル
・2013年4月更新時:5GH/s、274ドル

Little Single SC

・2012年10月に追加:30GH/s、649ドル
・2013年4月更新時:25GH/s、1,249ドル

Single SC

・2012年6月発表当初:40GH/s、1,299ドル
・2012年10月更新時:60GH/s、1,299ドル
・2013年4月更新時:50GH/s、2,499ドル

Mini Rig SC

・2012年6月発表当初:1,000GH/s、28,899ドル
・2012年10月更新時:1,500GH/s、29,899ドル
・2013年4月更新時:売り切れ(事実上の消滅)
・2013年8月更新時:500GH/s、22,484ドル

チップ単体

2013年6月にASICチップ単体の予約注文も行われました。
・3.2W/GHs
・放熱性に優れたフリップチップBGAパッケージで汎用ヒートシンクを利用可能。競合品はQFNパッケージでチップ裏面の放熱設計が必要。
・デリバリー納期:100日
・最小注文数は100個、1個あたり75ドル。

納期遅延

2012年6月発表時は「2012年10月納入予定」でした。
ところが10月になると「11月納入予定」に延期されました。
11月になると「12月納入予定」に再度、延期されました。
そして2013年1月、次のようなコメントを自社サイトに掲載しました。

当社のASICは高性能過ぎてビットコイン採掘のエコシステムを破壊しかねません。
一部のお客様が有利にならないようにするため、まとまった数のお客様に同時に提供できるまで在庫を積み上げることにしました。
そのため初回出荷が遅延します。
2012年7月までに予約されたお客様の中から抽選で初回ロットを割り当てます。

結局、Bitforce SCの初回出荷が始まったのは2013年6月でした。

当時のレビュー記事:
2013年1月 CESでのデモとインタビュー- YouTube
Jalapeno 1号機の開封動画 – YouTube
Butterfly Labs ships long-awaited ASIC bitcoin miners – CoinDesk
We’ve got a Butterfly Labs Bitcoin miner, and it’s pretty darn fast | Ars Technica

Monarch(28nm ASIC)

2013年8月、発送されていないBitforce SCの予約注文を2万件以上も持ち越したまま、第2世代ASIC「Monarch(モナーク)」を発表します。
英語で「君主」という名前の通り、先行していたAvalon(110nm)やASICMINER(110nm)はもちろんのこと、発売予告状態だったAntminer(55nm)、Bitfury(65nm)KnC(28nm)を上回るハイスペックな28nmプロセスASICでした。

Monarchではマイニングマシンの販売に加えて、ホスティング契約(クラウドマイニング)も設定されました。
・1年間のホスティング契約 1GH/sで10.83ドル
・PCIeカード型 [email protected]、2,800ドル
・PCIeカード型 [email protected]、4,680ドル

納期遅延

8月の発表当時、納期は次のように説明されていました。

開発中のため遅延がありえます。
第1世代ASICは大きな遅延がありましたが、Monarchは第2世代なので確実性が高いと考えています。
今年末には確実に発売できます。
先着順で出荷しますが、いま注文いただければ2014年1〜2月に提供できる予定です。
ASIC開発はすでに最終段階(テープアウト)にあり、来週からウェハー製造が始まります。
ファウンダリーでのウェハー製造に10週、パッケージと基板実装に2週、出荷工程の立ち上げに3週です。

しかし、またしても納期はずるずると遅れていきます。
Bitforce SCの納期遅延も深刻で、採掘機が届いた頃にはゴミ同然の性能になっていました。
発表当初に示していた期限の2014年2月を過ぎると、BFLを詐欺だと非難する声が日増しに強くなりました。
2014年9月にようやくMonarchの出荷が始まりました。

参考:
2014年1月 CESでのインタビュー- YouTube
2014年1月 Monarchデモ動画 – YouTube
BFLの出荷アナウンス(https://forums.butterflylabs.com/blogs/bfl_jody/)
2015年11月 レビュー動画 – YouTube

訴訟

FTC(連邦取引委員会)

2014年5月、BFLに対する苦情がFTCに殺到していることが判明。(Ars Technicaのスクープ)
2014年9月18日、Butterfly Labsを閉鎖し、資産凍結。(FTC発表)
2014年12月12日、凍結解除。(判決文)
2016年2月18日、Butterfly Labsが制裁金の支払い条件に合意。(FTC発表)
制裁金は38,615,161ドル(約44億円)。
しかし財政状況を考慮し、15,000ドル(約170万円)への実質的な減額を認めた。

FTCの裁判記録から注目すべきポイントを紹介します。

BFLの銀行口座に振り込まれた購入代金はすぐに消えてしまう。多額の購入代金を受け取っているにもかかわらず、口座残高が250万ドルを上回ることがほとんどない。新しい注文を受けるたびに資金が銀行口座から引き出されている。
企業の資金が百貨店、マッサージ、家財関連(改築やサウナなど) など個人的用途に流用されていることを示す実質的な証拠がある。BFLの法人クレジットカードには百貨店、自動車整備、銃器店など、ビジネス以外の支出が多数記載されていた。
(ドキュメント#5 9月15日付 FTC調査官 Helen Wong氏の報告より)

数人の元従業員と製品開発担当副社長のJosh Zerlan氏の証言によると、BFLは顧客の採掘機を使って出荷前にマイニングしてしていた。
また、同社は「Y U NO SHIP – BFL IS LATE!(なぜ出荷しないのか BFLは遅延!)」と印刷された巨大なスポンジのピッチフォーク(悪魔が持つアイコン)を大量発注していた。顧客をあざ笑っていたことを示唆している。

FTCは「バーンイン」と呼ぶ出荷検査の工程でビットコインを採掘していたことを発見し、元従業員とJosh Zerlan氏はそれを認めた。
バーンイン時に採掘したビットコインはBFL関係者が得ていた可能性が高い。
ある元従業員の証言によると、最大500台をバーンインで稼働させていたという。
別の元従業員の証言によると、バーンイン検査に必要な時間は1台あたり通常10分から30分にもかかわらず、長い時は2日間もバーンインを続けていたという。検査室に新しい採掘機が入荷するまで、基本的に採掘機を出荷することはなかった。
このような実態にもかかわらず、BFLは採掘行為の疑惑を否定し続けていた。
ビットコインを採掘せずに稼働試験できる「テストネット」という手法が存在するが、ある従業員が経営陣にたずねたところ、「テストネットを使っても儲からない」と言われたという。
(ドキュメント#42 9月26日付 FTC調査官 Helen Wong氏の報告より)

私がBFLで働き始めた頃は、採掘機の出荷検査はテストネットで実施しており、マイニングしていないとBFLは公表していたと認識しています。ところがバーンインの仕事につくと、実際はビットコインをマイニングしていることに気が付きました。
私が働いている間、2~3週間の期間を除いて、採掘機はすべてEclipse Mining Consortium(EMC)で採掘する設定になっていました。EMCはJosh Zerlan氏が所有していたと思います。
バーンインで採掘したビットコインは従業員や慈善団体に使われると聞きました。
しかしあとになって、そのような仕組みは存在しないことを知りました。

バーンインで稼働させたマシンの採掘力は強力でした。
例えば2013年8月時点でハッシュレートは12TH/sもあり、当時のビットコインネットワーク全体のハッシュレートの約3%を占めていました。
BFLがバーンイン中にマイニングすることで、ビットコインの採掘難易度を上昇させることにつながりました。

2013年6月時点でJalapeno(廉価モデル)を生産していましたが、上位モデル(Single SCやMini Rig)は生産していませんでした。
私が知る限り、BFLの出荷台数は6月は1日30〜50台、9月は1日約100台、10月にバーンインルームが完成した頃には約900台を出荷していたと思います。
「Single SC」は7月、「Mini Rig SC」は9月に出荷を始めたと思います。
それとNetsolus社のデータセンターに採掘機を設置し、クラウドマイニングサービスも運営していました。

Mini Rig SCのスペックは1.5TH/s、消費電力は1,500Wと宣伝して予約販売していましたが、このスペックは実現できませんでした。
このスペックで予約していた顧客には500GH/[email protected],400Wの採掘機を3台送ることになりました。
ただし3台セットではなく、まず最初の1台を発送し、すべての顧客に行き渡ってから2台目、3台目を発送する計画でした。

バーンイン中に採掘したビットコインを保存していたノートPCが盗まれてしまったため、私は2013年11月にBFLを解雇されました。
(ドキュメント#42添付#13 元従業員の証言資料より)

ドキュメント#42添付#7ではBFL社内のチャットのログが示されています。

(2013年6月17日のチャット記録より)
N「みんな聞いたか?bitfuryが高性能なASICを開発しているそうだ。」
N「BFLもバズるニュースが必要だ。もうすぐ28nm ASICを出すと発表したらどうだ?」
J「28nmの発表は慎重に進めるべきだ。」
N「たしかに。オズボーン効果(現行製品の買い控え)を防がないと。」
N「あと3週間位で見えてくるが、68nmの回路を28nmに移植すれば1W/GHs以上の電力効率になるはずだ。」
Z「これ以上、予約を受け続けるのは危険だ。次世代品で予約販売はできない。」
J「できるさ」
N「遅延する可能性もあるが、3ヶ月後には28nm ASICが手に入るはずだ。」
S「28nm ASICは夏にテープアウト(設計完了)する。」

(2013年10月8日のチャット記録より)
S「65m採掘機を出荷しなくても最終的な収益性は全然悪くならない。出荷する代わりにマイニングすれば製造コストを回収できる。」
Z「しかも返金しないですむ。むしろ出荷しないほうが得だろう。」
S「そのとおり。(65nmへのアップデートを約束すれば)客の不安をやわらげることができる。」
N「そのぶん、次世代機への期待が大きくなる。」
Z「Monarch(28nm)の投入は遅れるわけにいかない。」

(2013年11月6日のチャット記録より)
S「今日、ASICMinerが業績を発表した。ほとんどの人は、ASICMinerがASIC開発競争の勝者だと思っている。でも全然違う。」
N「?」
S「ASICMinerはAvalonと同じく次世代ASICについても発表したが、プロセスは40nmと55nmだという。我々の脅威にはならない。」
Z「ただしMonarchがテープアウトしたかどうか、まだ確認できていない。」
S「たしかに。」
Z「Monarchの開発スケジュールを見直さないと、このままだと今年中の出荷が間に合わなくなる。」
Z「達成できない非現実的な日程を設定すべきでないと前から言っていただろう。」
N「デモは1月に間に合うと思う。」
Z「デモは無意味だ。いつ出荷できるかが問題だ。」
N「デモを披露すれば、近々出荷できると思われるはずだ。」
Z「いや、違う。」
N「顧客が他のASICに乗り移ることを防ぐ効果もある」
Z「我々は65nmのデモ(CES等で披露)をしたが、出荷したのはデモの6ヶ月後だ」
Z「我々は業界の信頼を失っている。商品を届けることだけに集中すべきだ」
N「出荷は最終目標だ。1月に間に合うとは思えない。」
Z「だから現実的なスケジュールに仕切り直して発表するべきだ。」
N「新しいスケジュールを発表する前にジョン(開発委託先であるCSS社の社長)の返事を待ちたい。」
Z「ジョンのスケジュールに2ヶ月、マージンを足せばいいだろう。」
J「ジョンの答えを待つだと?奴はいままで、なに一つ約束を守ったことがない。」
N「ウェハー製造がいつ始まるのか、把握しないといけない。もしまだテープアウトしていなかったら、正直、1月末どころか2月中旬の出荷すら危うい。」
N「1月前にASICが手に入ったら1月中旬に出荷できる見込みは十分ある。ASICが問題なく動けば、の話だが(たいてい、そうならないが)。」
N「ジョンからの連絡はまだない。」
J「もう奴とは手を切ろう。」
S「いったん落ち着こう。遅れているのはテープアウトだけだ。ウェハー製造の予定を確認してから計画を立て直そう。」
N「分かった。クリスマス休暇中も組立を進められるように準備を進めておく。」
S「ちょうどジョンからメールがきたところだ。あとで電話すると書いてある。少なくとも金を持ち逃げしたわけではないようだ(笑)」
N「安心するのはまだ早い。奴はどこにいる?カナリア諸島かもしれないぞ。」

(2013年11月12日のチャット記録より)
J「これはベストケースの日程か?」
S「ベストケースならもう少し早くなる。これは予想通り進んだ場合の日程だ。」
N「チップの欠陥が心配だ。スケジュールを発表するときは逃げ道も残しておきたい。」
S「予約注文の条件に開発遅延のリスクを明記しているから問題ない。」
Z「新しい計画をみるかぎり、来年2月までの出荷は絶望的だ。早くても3月以降になるだろう。」
S「出荷予定を来年6月だと発表したらどうか?」
Z「賛成。テープアウトしていないのに、ごまかし続けるより、ずっとマシだ。」
S「計画をたてたときは11月より前にテープアウトできると確信があった。あなたも私もCTI社も。」
Z「違う。10月下旬のテープアウトは難しかったことを私は知っている。」
S「2月より前に製品を出荷するのが厳しかったのと同じようにね。どちらも過去の推測にすぎない。」
Z「推測じゃない。ジョンが納期を守った実績は一度もない」
S「ごもっとも。」
Z「もはや納期を守れなくても、BFLにとって致命傷ではないと思う。」
S「つまり?」
Z「『ファウンダリ(委託先工場)のせいで納期が遅れていて出荷は1月末予定』と発表するとか。」
Z「いまさらテープアウトが先週だったと発表するのは自殺行為だ。9月にテープアウトしたと思われている。」
J「しかも競合のcointerraも先週、ASICをテープアウトしたと発表している。」
N「客はMonarchがいつ出荷されると思っているのか?」
Z「2週間以内に出荷することになっていたが、12月末になんとかズラせたところだ。」
N「それで解決策は?」
Z「これ以上引き伸ばすのは無理だ。納期が2〜3月になると正直に言って、注文のキャンセルを受け付けるしかない。」
N「注文キャンセルを受け付ける義務はない。契約書に納期遅延の可能性を明記している。」
J「返金はできない。現金が足りない。」
Z「ビットコインで返金すればいい。ビットコインをドルに換金して返金することもできるはずだ。」
J「冗談だろう。会社を閉じたほうがましだ。」
N「もしも納期が遅れた場合、法的な責任を問われる可能性はないのか?」
J「1ヶ月くらいなら大丈夫だろう。しかし3ヶ月も遅れるとさすがに……」
S「BFLは納期の”確約”はしていない。『11月』や『年内』はあくまで想定納期だ。」

(2013年11月26日のチャット記録より)
S「KnCの20nm ASICは夏まで出てこない。BFLの28nmのほうがずっと早く完成する。それに20nmプロセスの優位性は少ない。」
J「秋までにBFLが16nm ASICを出せば勝ちだな。」
Z「最悪の自体も想定しておくべきだ。3月上旬までにMonarchを出荷できないと、さすがにやばくなる。」
Z「ジョン(CSS社)の能力や競合のスペックを真剣に考えるべきだ。」
Z「電力効率を重視して納期を遅らせるよりも、現実的な納期でつくれるスペックを考えるべきだ。」
S「ごもっともな正論だ。AsicMinerもAvalonもKnCもみんな、そう考えている。」
S「Monarchの設計はいまさら変えられない。我々は最先端のプロセスをつかっている。ビットコインASICは電力効率が決定的な競争優位になる。」
Z「しかしMonarchはまだテープアウトしていないじゃないか。」

(2014年6月9日のチャット記録より)
Z「Monarchの出荷準備はどうなっている?客に進捗を報告しないといけない。明日までに出荷開始できないか?もう時間切れだ。」
B「Monarchを出荷する代わりにGigahashに設置するつもりだ。これには色々とメリットがある。くわしくは明日、話そう。ともかくフォーラムへの投稿は保留してくれ。」

(2014年7月8日のチャット記録より)
D「Cointerraは2TH/sの採掘機を1,500ドルに値下げするそうだ。Bitmainは1TH/[email protected]の採掘機を1,700ドルで販売している。BFLの採掘機はもはや時代遅れだ。予約注文を返金して、在庫を市場価格で処分したらどうか。」
J「対応を考えているところだ。」

参考:
Feds say Bitcoin miner maker Butterfly Labs ran “systematic deception” | Ars Technica
Feds: Butterfly Labs mined bitcoins on customers’ boxes before shipping | Ars Technica

後日談:
FTCとの和解後、BFLはbitcoinmagazineの取材に応じ、「活動するために仕方なく和解に応じた。FTCの指摘には不当だ」と反論しました。
この記事以降、BFLの動静は情報がなく、いつの間にか解散したようです。
Butterfly Labs Corrects Record on Settlement With FTC and Future Plans

余談:
バタフライ・ラボ事件はFTCが初めて提訴した仮想通貨関連の事件でした。(参考)
事件を担当したFTC調査官(当時)のHelen Wong氏はTEDxで仮想通貨と消費者保護に関するスピーチを発表しています。

その他

Lolli v. BF Labs Inc.,
2013年11月にBFL側欠席により原告の返金要求が認められた。
しかしBFL側は支払いを拒否し、その後、どうなったか不明。

Meissner v. BF Labs Inc.,
2013年12月2日に起訴。
Meissner氏が62,598ドルの返金と損害賠償を求めた裁判。
2014年6月6日にBF Labsの異議申立が棄却され、一部返金が認められた模様。
係争記録が2015年7月まで続いており、返金されたのか不明。

Alexander v. BF Labs Inc.,
2014年4月4日に起訴。
Wood Law Firmによる集団訴訟。
2016年11月7日に集団訴訟の請求が棄却された。

Bevand v. BF Labs Inc., 
2016年10月17日に起訴。
RICO法(組織犯罪規制法)違反が争点だったが、2017年9月26日に棄却された。
この事件について米法律事務所Blank Romeのコメント(抄訳)。

「Bevand v. BF Labs」での原告の訴えによると、BFLは採掘機を出荷せず、自社の利益のためにマイニングを行ったという。
事実関係の進展がないまま棄却されたとはいえ、この事件は効率的な違反行為の教科書的な例になりうる。
BFLは高性能ASICが生み出す採掘利益が訴訟費用を上回ると判断したのかもしれない。
この説を裏付ける歴史的背景がある。
原告が採掘機を発注した2013年8月時点では1ビットコイン=約100ドルだったが、2013年11月には1ビットコイン=約1,000ドルまで急騰した。
経済的な観点では、BFLが裁判沙汰を覚悟で採掘機を出荷しなかったとしても不思議ではない。
Appreciating Bitcoin: A Holiday Guide to Legal Hot Topics in Virtual Currency | Blank Rome LLP

参考:
New lawsuit against Bitcoin miner manufacturer alleges fraud, negligence | Ars Technica

ASICの開発委託先

Butterfly LabsのASICは自社開発ではありません。
アメリカのファブレス半導体メーカー Custom Silicon Solutions(CSS)が開発し、OEM供給していました。

第1世代「Bitforce SC」

・2011年9月発表、完成時期不明(2012年10月〜2013年6月)
・設計:Chronicle Technology(現:Custom Silicon Solutions)
・プロセス:IBM(現:Global Foundries)65nm
・パッケージ:NANIUM eWLB

第2世代「Monarch」

・2013年8月発表、完成時期不明(2014年2月〜2014年6月)
・設計:Custom Silicon Solutions
・プロセス:Global Foundries(ドレスデン工場) 28nm
・パッケージ:NANIUM カスタムWLCSP

腕利きエンジニアが設計

回路設計を担当したエンジニア、Allan Stewart氏の略歴です。

1975年にストラスクライド大学を卒業(電子工学専攻)。
イギリスで回路設計エンジニアとしてのキャリアをスタート。
バロース(ユニシス)、Adaptec、TI、Calimetricsを経て2003年に独立。
フリーランスとしてTreehouse DesignとChronicle Technologyに参画。
2011年からChronicle Technology専属となり、ビデオ用1.5Gbps SerDes、Butterfly Labsの65nmと28nmのBitcoin用ASICを開発。
(CSS社ニュースレター2014年11月号より)

開発エピソード

CSS社ニュースレター2014年11月号で、Allan Stewart氏の思い出話が披露されています。

28nmチップ(Monarch)よりも最初の65nmチップ(Bitforce SC)のほうが開発に苦労しました。
アーキテクチャを考える必要があったからです。
スピードと消費電力を両立させるため、5〜6個の異なる技術を試しました。

28nmチップ(Monarch)はトランジスタ数は55億個の大規模チップです。
65nmチップで16個だったハッシュエンジンを1024個に激増したため、チップの消費電力が350Wとなったことが懸念でした。
寄生成分を慎重に検討したおかげで、目標仕様より優れた消費電力と動作周波数を実現できました。

実績PR

CSS社はビットコイン用ASICの開発実績を積極的に紹介していました。

CSSはビットコイン採掘に使える高性能なカスタムチップを開発しました。
65nmデジタル技術でトランジスタ数は1億個以上です。
性能、消費電力、チップサイズの最適化のため、ASICをイチから作りました。
約10Wで3GH/sを誇り、世界最高の性能と電力効率のビットコイン採掘用ASICです。
(CSS社ブログ 2013年9月5日の記事より)
http://blog.customsiliconsolutions.com/2013/09

CSSは世界で最も優れたビットコイン採掘用ASICを製造しています。
ASICはGlobal Foundriesの28nmプロセスでトランジスタ数は55億個です。
Global Foundriesがこれまでに製造したASICのなかで過去最大のトランジスタ数です。
CSS独自の回路設計技術により、業界トップクラスの電力効率と採掘効率を実現しています。
・競合の28nmチップより3倍以上の電力効率
・競合の20nmチップ(KnC社)より2倍以上の採掘効率!
このチップは昨年、CSSが開発したビットコインASICの第2世代品です。第1世代では65nmプロセスで16個のハッシュエンジンを搭載していました。
フルカスタムASICにご興味があればお気軽にお問い合わせください。
お客様のニーズに合わせたカスタムASICの開発と製造のお見積りが可能です。
(CSS社ブログ 2014年8月10日の記事より)
http://blog.customsiliconsolutions.com/uncategorized/an-advanced-bitcoin-mining-chip

Naniumは、業界最大のウェハレベルチップスケールパッケージ(WLCSP)、300mmウェハで大量生産される25x23mmパッケージングソリューションを発表しました。
CSS社のためにカスタム開発したこのパッケージは、一般的なWLCSPの9倍の面積です。
CSSのセールス・ディレクター、Mike McDaid氏は次のように述べています。
「65nm品(Bitforce SC)をNANIUM社のeWLBパッケージで量産した後、次の28nm品(Monarch)では WLCSPを提案しました。NANIUM社の技術のおかげで、熱的にも処理性能的にも前例のないASICを迅速に市場投入できました。」
(2014年9月26日 Nanium社のPRより)

CTI社とCSS社の沿革

Bitforce SCのASIC開発を請け負っていたのがChronicle Technology(CTI)です。
CTI社のASIC部門は2013年1月1日にCSS社に統合されました。

CTI社、CSS社ともカリフォルニア州アーバインに拠点を置き、1996年に設立された半導体設計会社です。
アーバインは「第2のシリコンバレー」と呼ばれている地域です。

CTI社は先進的な技術力が強みの設計会社だったようです。
会社紹介によると、CMOS、SiGe、BiCMOS、BiPolar、CIS、SOIプロセス技術を利用したデジタル、アナログ、ミックスドシグナル、イメージセンサー、RFアプリケーションの設計経験があり、ファウンドリはON Semi、Tower Jazz、XFab、Atmel、IBM、Global、UMC、SMIC、TSMCの各社、プロセスルールは65nmから1.25umと非常に広範な実績があります。
産業、医療、ミリタリー、民生分野に200製品以上をテープアウト(設計完了)しており、クライアントとして以下の企業が紹介されていました。
Goodrich、Qualcomm、Terocelo、ProMOS Technologies、Aeroflex、Broadcom、AMCC、Freescale Semiconductor、Creative Labs、DRS Technologies、Sarnoff Corporation、TDK Corporation、Texas Instruments、Toshiba、Skyworks Solutions, Inc.、Jazz Semiconductor Inc.、Dialog、ESS Technology、Western Digital、Conexant Systems, Inc.、Raytheon、RF Micro Devices.、SilTerra、AltaSens, Inc、Atheros Communications、Irvine Sensors Corp、Mosel Vitelic、General Dynamics Robotic Systems、iRobot、Leapfrog、Quantum Semiconductor、L-3 Communications
参考:CTI社の会社紹介ページ(http://www.chronicle-tech.com/Customers.html)

CSS社もCTI社と似ていますが、不揮発性メモリを組み込んだミックスドシグナル製品を得意としていました。
CSS社は、Hughes社でEEPROMを研究していたKeith Shelton氏とFrank Bohac氏が1996年に設立した企業です。
CSS社設立後、最初の仕事はC5プロセス(CMOS 0.5um)を使ったAMI Semiconductor(現:ON Semiconductor)のEEPROM開発でした。
CSS社が開発したEEPROM技術はファウンダリーサービスのIPとして幅広く提供されています。
また、樹脂封止したチップの検査まで含めた豊富な出荷実績があり、カスタムASICの開発から製造まで一気通貫のターンキー・ソリューションを提供しています。

2013年1月にCTI社とCSS社は統合し、CSS社が存続会社となりました。
CSS社創業者のKeith Shelton氏はCEOを退任し、CTI社出身のJohn Cheng氏が新CEOとなっています。CSS社のウェブサイトは2016年2月以降、更新が止まっており、現在は活動休止状態にあるようです。

その他

売上

Ars Technicaの記事によると、2011年11月から2012年11月の間で、BFLはFPGA型採掘機(Bitforceシリーズ)を約2,300台販売し、160万ドル(約1億3,000万円)以上の売上があったそうです。

集団訴訟(Alexander v. BF Labs Inc.,)での原告側主張によると、ASIC型採掘機(Bitforce SCとMonarch)の予約販売で2,500万ドル(約26億円)以上の売上があったと言われています。

ベンチャーキャピタル

BFLは「ベンチャーキャピタルの支援を受けている」と説明していましたが、集団訴訟(Alexander v. BF Labs Inc.,)での原告側主張によると、調達額はわずか8,000ドルだったと指摘されています。

宝くじ詐欺

BFL共同創設者のSonny Vleisides氏は2010年に宝くじ詐欺で有罪判決を受けています。
Sonny氏は逮捕歴を含めて自身の経歴を公表していました。

保護観察中の規定違反をめぐる裁判で、BFLの活動は疑わしい要素があると指摘され、保護観察の2年延長を受けました。
裁判のなかで、BFLは「Eclipse Mining Consortium(EMC)」というマイニングプールを10万ドルで購入しており、採掘機の出荷テストでマイニングしていることが明かされました。
EMCを運営していたJosh Zerlan氏(ハンドルネーム:Inaba)はBFLへ入社したことを公表していましたが、EMCの運営は変わっていないと説明していました。

参考:
Digging for answers: The “strong smell” of fraud from one Bitcoin miner maker | Ars Technica
USA v. Vleisides: Criminal Case No. 4:11-cr-00125-DGK

ブログの買収疑惑

BFLに批判的なレビューを掲載していたブログ「Buttcoin.org」が買収され、内容が書き換わる事件がありました。
Buttcoin.orgの元管理人によると買い手は匿名でしたが、Butterfly Labsの記事だけ好意的に書き換わっており、BFL関係者によるものだと指摘しています。
参考:
Butterfly Labs Accused of Buying Blog to Hide Negative Search Results – CoinDesk

画像出典:
List of Bitcoin mining ASICs – Bitcoin Wiki
Butterfly Labs(http://www.butterflylabs.com/)

インタビュー記事:
Inside Butterfly Labs: Challenge of producing bitcoin mining hardware
Inside Butterfly Labs: The ASIC bitcoin mining arms race
Gold in them bits: Inside the world’s most mysterious Bitcoin mining company | Ars Technica

参考:
ビットコイン全体のハッシュレートの歴史的推移
Bryan Micon氏によるBFL糾弾記事(2013年1月)
Bryan Micon氏がCESのBFLブースを訪れるが冷たくあしらわれる様子 – YouTube
BFLやCSSを紹介するロイターの記事(2013年11月)
BFL関係者がAMMBR社に関与(2019年2月)